2026/07/23

AIエージェントがECを変える2026年夏——主要プラットフォームの実装状況とEC運営者が今すべきこと

生成AIが「調べる場所」から「買う場所」へ変わりつつあります。2026年に入り、ShopifyやSalesforceといった主要ECプラットフォームがAIエージェント(人の代わりに調べて判断し、手続きまで行うAIプログラム)機能を相次いで実装しました。ECサイトを運営する側にとって、来店客の一部が「人ではなくAI」になる時代が近づいています。直近の動きを整理します。

主要プラットフォームのAI機能が出そろった

ネットショップ担当者フォーラムが2026年7月に報じた海外動向によると、北米の主要ECプラットフォームは大きく3つの方向でAI機能を強化しています。

  • 消費者向けエージェント:ShopifyはChatGPTやCopilotと連携するストアフロント機能を提供。Salesforceは「Agentforce Commerce」に接客を担う「Guided Shopping Agent」を搭載
  • 商品発見と決済の外部連携:Commerce.comの「Feedonomics Surface」がGoogleショッピングやMetaへの露出を自動化
  • バックオフィスの自動化:Oracle NetSuiteの「SuiteAgent」、Microsoft Dynamics 365の「Catalog Enrichment Agent」(商品情報の自動拡充)や「Supplier Communications Agent」(仕入先とのやり取り代行)

注目すべきは、消費者向けと社内業務向けの両方が同時に進んでいる点です。接客だけでなく、商品登録や在庫・仕入れ管理といった裏側の作業もAIの担当範囲に入り始めています。

「サイトに来ないまま買われる」流れ

同記事は、生成AIの利用者がECサイトにアクセスせず、検索から購入までを完結させる傾向を指摘しています。GoogleはAI Modeやgeminiでの「Buy for me」機能を通じ、検索画面上での決済に踏み込みました。Perplexityの買い物機能ではPayPalが決済を担っています。

つまり、商品が選ばれる場所が自社サイトの外へ移りつつあるということです。従来のようにサイトへの流入を増やしてサイト内で接客する、という前提が崩れかけています。自社の商品情報がAIにどう読まれ、どう引用されているかを把握することが、これまで以上に重要になります。AIからの見え方を確認したい場合はAIOチェッカーのようなツールで現状を測るところから始めるとよいでしょう。

消費者はすでに受け入れている

commercetoolsがまとめた2026年のトレンド分析では、次の数字が示されています。

  • 消費者の73%がすでに買い物の過程でAIを使っている
  • 70%がAIエージェントによる自律的な購入に抵抗がない
  • Morgan Stanleyの予測では、2030年までにオンライン購入者の約半数がAIエージェントを使い、支出の約25%を占める

一方で企業側は、62%がAIエージェントを試している段階にとどまり、本格展開に至っているのは23%です。消費者の受容度に対し、事業者側の対応が遅れている構図が読み取れます。

EC運営者への示唆

すぐに大がかりな投資をする必要はありませんが、次の3点は今から着手できます。

  1. 商品情報を機械が読める形に整える:商品名、型番、素材、サイズ、在庫状況などを構造化データとして正確に記述する。AIが引用しやすい情報が、そのまま露出につながります
  2. AI検索での自社の見え方を測る:自社ブランドや主力商品について、生成AIがどう説明しているかを定期的に確認する
  3. バックオフィスの小さな自動化から試す:商品説明文の下書き生成や問い合わせの一次対応など、失敗しても影響が小さい領域から始める

まとめ

2026年のECは、プラットフォーム側のAI機能が実装段階に入り、消費者の抵抗感も低い状態です。対応が遅れているのは事業者側で、裏を返せば早く動くほど差がつく局面といえます。まずは自社の商品情報がAIにどう見えているかを確認することから始めてみてください。

参考

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