2026/07/26

AIが買い物を代行する時代へ|UCP・エージェントコマースでEC事業者が今やるべきこと

AI(人工知能)が利用者に代わって商品を探し、そのまま購入まで進める「エージェントコマース」が、いよいよ実用の段階に入りました。2026年に入り、大手プラットフォームの明暗もはっきりしてきています。ECサイトを運営する立場で、今おさえておきたい動きを整理します。

ChatGPTの「その場で購入」は一度撤退

OpenAIは、ChatGPTのチャット画面から直接買い物ができる「Instant Checkout(インスタント・チェックアウト)」機能を、2026年3月5日に終了しました。導入した店舗が約30社にとどまったことが背景です。ある大手小売の担当者は、ChatGPT経由の購入率が自社サイトの3分の1程度だったと明かしています。会話の中で買い物が完結する体験は、まだ改善の余地が大きいことがうかがえます。

Perplexityは着実に成果を出す

一方、対話型AI検索の「Perplexity(パープレキシティ)」は、買い物代行機能「Buy Now」の月間利用者が200万人を超えました。年換算の流通総額(GMV/サイトで取引された金額の合計)は20億ドル規模とされています。2025年11月にはPayPalと組んだ「Instant Buy」を開始し、チャット画面から直接購入できる仕組みを、多くの加盟店に広げています。

主導権を握るのは「共通ルール」

いま競争の中心にあるのは、AIが安全に決済まで進めるための「共通ルール(プロトコル)」です。代表格がGoogleの「UCP(ユニバーサル・コマース・プロトコル)」で、Shopifyやウォルマート、ターゲットなど20社以上が支持を表明しています。OpenAI陣営の「ACP」と並ぶ二大標準です。

共通ルールが定まる意味は小さくありません。これまでは、AIサービスごとに個別対応が必要になる「掛け算の負担」がありました。共通ルールなら「一度整えれば、複数のAIから買ってもらえる」状態に近づきます。

EC運営者への示唆

  • 商品情報を「AIが読める形」に整える:価格・在庫・送料・返品条件などを正確かつ最新に保つことが、AI経由の販売機会につながります。
  • どの標準にも慌てて全対応しない:まずは自社の利用客が使うAIを見極め、費用対効果を確かめてから対応範囲を決めましょう。
  • AIに「見つけて選ばれる」準備をする:検索やAIの回答に自社商品が引用されるかは、今後の集客を左右します。自社サイトがAIにどう見えているかを点検するAIOチェッカーのようなツールも活用できます。

なお国内でも関心は高く、7月29日には「AI Commerce Forum Tokyo 2026」の開催が予定されるなど、事業者向けの情報交換の場が増えています。

まとめ

エージェントコマースは「実験」から「実売」の段階へ進みつつあります。撤退したサービスもあれば、着実に伸びるサービスもあり、勝敗はまだ流動的です。EC運営者にできる備えは、派手な新機能を追うことよりも、商品情報を正確に整え、AIに正しく見つけてもらう土台を作ることです。まずは自社の現状把握から始めることをおすすめします。

参考

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