2026/08/12

AIショッピング急拡大でEC業界が「データ争奪戦」へ、2026年ホリデー商戦は8月から前倒し

なぜ今、この話題が重要なのか

EC業界で、消費者の購買行動に大きな変化が起きています。ChatGPTやGemini、Perplexityといった生成AIツールを使って商品を探し、購入まで進める消費者が急増しているのです。同時に、2026年のホリデー商戦(年末商戦)は例年より早く始まる兆しが出ています。EC運営者にとって、この変化への対応が今秋の売上を左右する可能性があります。

AIを使った購買はもはや少数派ではない

最新のリサーチによると、直近3か月でAIツールを購入目的で使った消費者は67%に達しています。Z世代に限ると80%と、さらに高い比率です。

消費者がAIに求める用途は次の通りです。

  • 特定商品についての質問(58%)
  • 商品・ブランドの比較(51%)
  • おすすめ商品の提案(レコメンド、45%)
  • 割引・セール情報の検索(43%)

これらの数字から、AIはもはや「調べ物」の道具ではなく、購買プロセスの初期段階から深く関わる存在になっていることが分かります。

ホリエンド商戦が8月から前倒しで始まる

購買行動の変化に合わせて、ホリデー商戦のスケジュールにも変化が見られます。

  • 71%の消費者がブラックフライデー前に買い物を開始する予定
  • 46%は11月に入る前から購買行動を始める予定

従来は11月下旬の「ブラックフライデー」を起点に考えられていた商戦ですが、AIによる情報収集の手軽さもあり、消費者の意思決定タイミングが前倒しになっていると考えられます。EC運営者にとっては、施策の準備を例年より早く始める必要があるということです。

B2B領域でも進む自律型AIの活用

変化は消費者向け(B2C)だけでなく、企業間取引(B2B)にも及んでいます。Amazon Businessは年間売上60億ドル規模に達し、購入者に代わって自律的に発注を行う「エージェンティックAI」(人間の指示なしに自律的に判断・行動するAI)の展開が進んでいます。これは、EC事業者が対応すべき相手が「人間の消費者」だけでなく「AIエージェント」にも広がっていることを示しています。

リテール企業が直面する「データ争奪戦」

AI経由の購買が増える一方で、リテール企業には新たな課題が生じています。消費者が「ChatGPTやGeminiにどの商品を買うべきか」を尋ねる場面が増えることで、従来リテール企業が直接得ていた顧客データや購買文脈が、AIプラットフォーム側に蓄積されていく構造が生まれつつあるのです。

AIショッピングエージェントの普及、超高速配送の一般化、マーケットプレイスの変動が同時に進むことで、EC経済圏における「誰が顧客との関係を握るか」という力関係が再構築されている段階にあります。

EC運営者への示唆

こうした状況を踏まえ、EC運営者が今取り組むべきことは大きく2つです。

  • 商品データをAIが読み取れる形に整備する:構造化データ(検索エンジンやAIが商品情報を正確に理解できるよう整理したデータ形式)やAPI連携を整え、ChatGPTやGemini経由の「AI推薦」に自社商品が表示されやすい状態を作ることが重要です。この取り組みはAIO(AI最適化)やGEO(生成AI検索最適化)と呼ばれ、今後のAI経由流入を確保するための土台になります。自社サイトがAIにどう見られているかを把握したい場合は、AIOチェッカーのようなツールで現状を確認しておくと良いでしょう。
  • AI経由の顧客データを自社資産として保持する戦略を持つ:AIプラットフォーム経由の流入が増えるほど、顧客との直接的な関係が薄れるリスクがあります。メール登録や会員プログラムなど、自社で顧客接点を維持する仕組みを合わせて検討する必要があります。

まとめ

AIを使った購買行動は、消費者の3分の2以上が経験する規模まで広がっており、Z世代ではさらに高い割合です。ホリデー商戦の開始時期も前倒しが進んでおり、B2B領域でも自律型AIの活用が拡大しています。こうした変化の裏側では、リテール企業とAIプラットフォームの間で顧客データを巡る攻防が始まっています。EC運営者は、商品データのAI対応と顧客データ戦略の両方を、今のうちに見直しておくことが求められます。

参考

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