AmazonのA+コンテンツや商品画像に、AIで生成したフォトリアルな人物を使っている出品者は少なくありません。モデル起用のコストを抑えられる手段として広がってきましたが、2026年8月からAmazonはこうした画像に「表示義務」を課すことを決めました。非エンジニアの運営者にとっても影響の大きい変更ですので、要点を整理します。
何が変わるのか
Amazonは第三者出品者に対し、フォトリアルなAI生成人物を含む商品画像やA+コンテンツ(商品詳細ページ内の拡張コンテンツ枠)にタグ付けを義務化しました。
- 対象画像をアップロードする前に、画像ファイルのXMPメタデータ(画像に埋め込まれる付随情報)に「contains-synthetic-performer」というキーワードを追加する必要があります
- 実在の人物を撮影した画像、実在人物をAIで編集した画像、フォトリアルでない人物イラストなどは適用除外です
- あくまで「実在しないフォトリアルな人物」が写っている場合が対象となります
専門的な作業に見えますが、要は「AIで作った本物そっくりの人物写真には目印を付けてください」というルールだと理解しておけば十分です。
なぜこのタイミングなのか
この方針転換の背景には、ニューヨーク州の新法があります。同州では広告における「合成パフォーマー」(AIで生成された人物像)の開示を義務付ける法律が2026年6月9日に施行されました。Amazonはこれを受けて、出品者向けのルールを新設した形です。
一つの州の法律がきっかけとはいえ、Amazonというプラットフォーム全体のルールとして導入された点がポイントです。地域を問わず、Amazonで販売する出品者は原則としてこの新ルールの対象になると考えておく必要があります。
出品者が今すぐ確認すべきこと
実務担当者がまず着手すべき点は以下の通りです。
- 現在使用している商品画像・A+コンテンツの中に、AI生成のフォトリアルな人物画像がないか棚卸しする
- 該当する画像がある場合、メタデータへのタグ付け作業をアップロード前フローに組み込む
- 画像制作に使っているツールやサービスが、自動でXMPメタデータにタグを付与できるか確認する
- 外部の制作会社やフリーランスに画像制作を委託している場合は、タグ付け対応を発注条件に含める
特に4点目は見落としがちです。自社で画像を作らず外注している運営者ほど、委託先とのすり合わせを早めに行っておくべきでしょう。
今後の展望:規制の波及に備える
ニューヨーク州法をきっかけとした今回の対応は、他州や他プラットフォームへの規制波及を予感させるものです。AI生成コンテンツの開示ルールが今後、広告表示や別のECモールにも広がる可能性は十分に考えられます。
こうした変化に対応するには、自社の商品ページやコンテンツがAI生成物をどの程度含んでいるかを継続的に把握できる体制が有効です。ページ内のコンテンツをチェックする仕組みとして、AIOチェッカーのようなツールを日常の運用フローに組み込んでおくと、ルール変更が起きた際にも迅速に対象箇所を洗い出しやすくなります。
EC運営者への示唆
今回のルールは、AIモデル画像やAI生成インフルエンサーを商品訴求に活用してきた出品者にとって、運用フローの見直しを迫るものです。特に次の点は早めの検討が必要です。
- メタデータ対応を含めた画像アップロードの標準手順を社内で定める
- AI生成コンテンツの利用状況を一覧管理し、コンプライアンス確認をルーチン化する
- 画像制作ツールのアップデート情報を定期的にチェックし、自動タグ付け機能の有無を把握する
一度仕組みを整えてしまえば、追加の負担は限定的です。むしろ「対応が遅れた出品者」との差別化要因にもなり得ます。
まとめ
Amazonは2026年8月から、フォトリアルなAI生成人物を含む商品画像・A+コンテンツにXMPメタデータでのタグ付けを義務化します。背景にはニューヨーク州の合成パフォーマー開示法があり、今後は他州・他プラットフォームへの波及も想定されます。AI生成画像を利用しているEC運営者は、画像の棚卸しとアップロード手順の見直しを早めに進めておくことをおすすめします。
参考
- Amazon sellers must label AI-generated people in product images - Qz
- Amazon requires sellers to tag AI-generated people in product images after New York law - MLQ.ai
- Amazon requires sellers to label AI-generated people in listing images - Forbes
- August 2026 ecommerce news and updates for sellers - Stack Influence
