AIが買い物に関わる範囲が、実際の数字として見えてきました。2026年8月18日、LINEヤフーはYahoo!ショッピングのAI施策に関する説明会を開き、AIエージェント(利用者の代わりに探す・比べるなどの作業を進めるAI機能)経由の取扱高が全体の約20%に達したことを公開しました。一方、海外では「チャットの中で決済まで完結させる」構想が一度後退しています。この2つの動きは、EC運営者にとって同じ方向を示しています。
Yahoo!ショッピングでAI経由が約2割
LINEヤフーが公開した数字は次の通りです。
- AIエージェント経由の取扱高比率は約20%(2026年7月時点)
- 「おトクな日を提案する機能」と「AIおまかせ比較」の利用率はそれぞれ37%
- 「AIお買い物メモ」の月間利用者数は6月から7月で約12倍に増加
提供中の機能は、AIチャット、商品比較、AIお買い物メモなど。さらに「AIお届け予報」を9月末、「AIおまかせコーディネート」を2026年秋にリリースする予定とされています。モール内の導線が、検索窓からAIとの対話へ広がりつつあるということです。
「チャットで買う」から「チャットで探す」へ
海外では逆の動きがありました。OpenAIは2025年9月に開始したInstant Checkout(ChatGPTの画面内で決済まで完了できる機能)を、2026年3月に終了しています。約6か月での撤退でした。
- ChatGPTの役割は決済から商品発見へと軸足を移した
- 決済処理そのものは、GoogleのUniversal Commerce ProtocolやPerplexityのInstant Buyといった別の枠組みへ移っている
- 商品を「見つける場所」と「買う場所」が分かれる構図は残った
つまり、AIが購入の入口になる流れは止まっていません。変わったのは、購入の着地点が自社サイトに戻ってきたという点です。
店舗運営側のAIも実装段階に
Yahoo!ショッピングは、ストア向けの支援機能「Yahoo! EC Pilot」も展開しています。商品情報・文章の作成支援、問い合わせ対応、分析、競合比較などが含まれ、利用率は48%。利用ストアの取扱高は前年比で非利用ストアより15ポイント高いと報告されています。AI活用が、実験ではなく運用に組み込まれ始めている段階です。
EC運営者への示唆
いま優先度が高いのは、次の3点です。
- 商品情報を機械が読める形に整える:AIは商品名・説明文・スペック・レビューを読んで比較します。サイズ、素材、用途、対応機種といった比較軸が本文に書かれていない商品は、比較の土俵に上がりません。
- 自社サイトの購入導線を点検する:AIの回答から流入した人は、下調べを済ませた状態で商品ページに直接着地します。在庫表示、送料、納期、返品条件がその1ページで完結しているかを確認してください。自社ページがAIにどう読まれているかはAIOチェッカーで確認できます。
- AI経由の流入を分けて測る:チャット型サービスからの参照は、従来の検索流入とは行動が異なります。参照元を分けて記録しておかないと、施策の効果が見えません。
まとめ
AIエージェント経由が取扱高の約2割を占めるモールが、日本国内にすでに存在します。同時に、決済はプラットフォーム内で完結せず、自社サイトに戻る流れも確認できました。AIに正しく読まれる商品情報を整え、着地する商品ページを整備すること。派手な新機能の導入より、この地道な2つが今期の投資対効果は高いはずです。
