「AIO対策をしたいが、うちのカートでどこまでできるのか分からない」というご相談が増えています。AIO(AI Optimization/生成AI検索に引用されるための最適化)は、使っているECプラットフォームが何を編集させてくれるかで対応範囲の上限が決まります。ここでは主要7プラットフォーム(Shopify / SHOPLINE / EC-CUBE / ecforce / MakeShop / w2 / WordPress)を、AIOで効いてくる4つの軸から整理します。
AIO対応力を決める「4つの編集自由度」
プラットフォームの優劣は、機能の多さではなく次の4点で見ると判断しやすくなります。
- robots.txt を編集できるか:GPTBot(OpenAIのクローラー)やClaudeBot、PerplexityBotなど、AI側のクローラーを許可・拒否する設定ファイルです。ここがブロックされていると、他の施策をすべて無駄にします
- 商品ページに構造化データ(JSON-LD)を出せるか:価格・在庫・レビューなどを機械可読な形式で書いたコードです。AIが商品情報を誤りなく読むための土台になります
- 任意の静的ファイルをドメイン直下に置けるか:llms.txt などを
/直下に設置できるかどうか - ページ種別ごとにHTMLを編集できるか:商品ページ、カテゴリページ、記事ページで出し分けができるか
SaaS型カート:標準機能の範囲を先に確認する
Shopifyは、多くのテーマにJSON-LD形式の構造化データがあらかじめ組み込まれており、特別な設定なしで商品情報を検索エンジンに伝えられます。robots.txt もテーマの templates フォルダに robots.txt.liquid を追加すれば編集できますが、Shopify自身が「サポート対象外のカスタマイズ」「誤った使い方をすると全トラフィックを失う可能性がある」と警告しています。触るなら制作会社と一緒に、が前提です。
MakeShopは、テーマを選ぶと全コードをカスタマイズでき、ページ種別ごとにHTML・CSS・JSを登録できます。上記4軸のうちテンプレート編集の自由度は高い部類です。
SHOPLINEやw2のように、契約プランによって編集できる範囲が変わるサービスもあります。「AIO対策をしたい」と伝える前に、管理画面でrobots.txtとテンプレートHTMLに手が届くかを確認しておくと、その後の話が早くなります。
事業者向け・オープンソース系:自由度は高いが、やる人が必要
EC-CUBEとWordPressはサーバーに自分で設置する形式のため、robots.txt も llms.txt も構造化データも制約なく実装できます。理屈のうえではAIO対応力は最も高い一方、テンプレートを編集する人と、更新を続ける運用体制がなければ絵に描いた餅で終わります。WordPressはプラグインで構造化データを出せますが、テーマとプラグインが二重にJSON-LDを出力して内容が矛盾する事故が起きやすい点に注意してください。
ecforceは単品通販・定期購入に強く、コーディング知識がなくてもデザイン変更ができる設計です。運営側もエージェンティックコマース(AIが購買を代行する仕組み)やAIO/LLMO対応について公式に発信を始めています。ノーコード領域が広いぶん、細かなマークアップは標準機能でどこまで出ているかを実機で確認するのが確実です。
優先順位を間違えないために
AIOの話題では llms.txt が注目されがちですが、2026年時点でOpenAI・Google・Anthropicのいずれも「production環境で参照している」と公式には表明していません。Googleは検索での利用を否定しています。設置コストが低いため用意しておく価値はありますが、先に手を付けるべきは robots.txt のAIクローラー許可設定と、商品ページの構造化データです。この2つはプラットフォームを問わず効果が見込め、かつ多くのサイトで欠けています。自社サイトの現状はAIOチェッカーで無料診断できます。
EC運営者への示唆
- プラットフォームの乗り換えを検討する前に、いま使っているカートの標準機能でどこまで出せているかを確認する。robots.txtとJSON-LDが出ていれば、大半の課題は設定と原稿の問題です
- リプレイス選定中であれば、RFP(提案依頼書)に「robots.txtの編集可否」「商品ページのJSON-LD出力有無」「任意の静的ファイル設置可否」の3項目を入れる
- ノーコード型でも、標準で正しいマークアップが出るなら弱点にはなりません。自由度の高さより、運用が続く形かどうかで選ぶ
まとめ
AIO対策は、プラットフォームの優劣より「自社のカートで何が触れるか」を把握することから始まります。robots.txtと構造化データという2つの基本を押さえれば、どのプラットフォームでも戦えます。まずは現状の診断から着手してください。
